メルカリで売れた商品の取引画面を開いたら、購入者の名前が「BUYEE公式アカウント」だった。
こんな経験はないでしょうか。
あれは、海外のお客さんがあなたの商品を買った瞬間です。
eBayも、英語も、国際発送も使わずに。
私の取引履歴をさかのぼったら、こういう取引が41件ありました。
2,200円で仕入れた戦隊ロボが10,000円。3,850円のボカロソフトが12,500円。買い手は全部、海外の購入代行業者です。
この記事では、その41件の実データを使って「国内フリマだけで海外需要を取り込む」考え方を解説します。海外向けの商品をわざわざ探す必要はありません。国内相場だけでは見えない需要を、確認できるようになればいいだけです。
実際に「海外の代行業者」に売れた実例
まず、どういうものが売れているのか。実際の取引画面から3つ見てもらいます。
全部、私がメルカリ系の販路で普通に売った商品です。
手裏剣戦隊ニンニンジャー DXライオンハオー(2,200円 → 10,000円)

2,200円で仕入れた戦隊ロボが10,000円。
購入者の欄を見てください。「BUYEE公式アカウントM82」、しかもリピーターの表示つきです。
戦隊ロボの大型玩具は棚を圧迫するので、店舗が安値をつけがちなジャンルです。その値付けの甘さと海外需要の組み合わせで、この価格差が生まれています。
CRYPTON VOCALOID2 初音ミク(3,850円 → 12,500円)

廃盤になった初音ミクのソフトです。
こちらも購入者はBUYEE公式アカウントで、購入回数3回目のリピーター。ボーカロイドのような廃盤ソフトはコレクター需要が強く、私の履歴では同じカテゴリの商品が繰り返し海外の代行業者に買われています。
福原多聞 おすわりぬいぐるみ(9,460円 → 20,000円)

「多聞くん今どっち!?」のぬいぐるみです。仕入れ9,460円はけっこう強気ですが、アニメ放映時期の駆け込み需要で20,000円。
購入者は「Sendico公式アカウント」。Buyeeだけでなく、いろいろな代行業者が買いに来ることが分かると思います。
3つに共通するのは、売る側は何も特別なことをしていないという点です。英語も国際発送も関係ありません。
この仕組みを次から順番に説明していきます。
なぜ中古せどりで「海外需要」を見るのか
理由はシンプルで、国内相場だけを見ていると、需要の一部を見落とすからです。
せどりで扱う商品は、大きく2種類に分けられます。バーコードや型番で一発検索できる商品と、特定するのに知識が要る商品です。
バーコードや型番がある商品は、誰でもスマホひとつで相場が分かります。仕入れ判断がしやすい反面、一般消費者もライバルのせどらーも同じ相場を見ているので、分かりやすい利益商品ほど競争が激しくなります。
一方、ホビーやアニメグッズは、ぱっと見では価値が分かりません。どのイベントの限定品か、どのキャラか、付属品は揃っているか。そういう背景を確認しないと相場にたどり着けないので、調べる人が少なく、利益商品が残りやすい。
ここまでは、このブログで何度も書いてきた話です。
海外需要は、この「見えにくさ」がもう一段深くなった話です。
商品の特定までできても、国内の販売履歴だけを見ていると「大した相場じゃない」で終わってしまう商品の中に、海外のコレクターが高値で欲しがっているものが混ざっています。市場に流通している在庫が少ない商品ほど、国内の履歴だけでは本当の需要が見えません。
そして、この海外需要は年々大きくなっています。
メルカリの公式発表によると、海外への越境取引は流通総額1,122億円でメルカリ全体の約9%、この4年で約19倍。
しかも越境取引の件数の56.9%が、キャラクターグッズやトレカなどのポップカルチャー関連です。
経済産業省の調査でも、国内フリマアプリで最も取引が多いのはエンタメ・ホビー用品とされています。私たちが普段扱っている中古ホビーは、越境取引の主役ど真ん中にいます。
海外販売=eBayをやる必要はない
「海外需要」と聞くと、eBayを始めなければいけない気がしてきますが、そうではありません。
冒頭の実例のとおり、国内フリマに出品しておくだけで、海外のお客さんは購入代行業者を通して買っていきます。流れはこうです。

メルカリの公式ヘルプにも、こう明記されています。
- 出品者による商品の発送先は日本国内の指定の住所
- 出品者側で特別な対応は一切不要
- 海外への配送料を支払う必要はない
出品者から見れば、発送先が業者の倉庫になるだけで、完全に通常の国内取引です。
私の41件の取引も、全部この形で完結しています。英語のやり取りが発生したことは一度もありません。
むしろ業者側から日本語の丁寧な定型メッセージが届いて、あとは普通に発送して終わりです。

受取評価が普通の取引より1〜3営業日くらい遅れることはありますが、実害はそれくらい。トラブルになった経験もありません。
購入代行業者とは何者なのか
購入代行業者は、日本の通販やフリマで買い物をしたい海外在住者の「代理購入+転送」をやる会社です。
Buyee(バイイー)が代表格で、ほかにもZenMarket、FROM JAPAN、doorzo、楽一番など、たくさんあります。メルカリの公式ヘルプには、公式に連携している越境EC事業者が50社以上、実名で載っています。
メルカリ自身も「メルカリ海外取引サポート」という公式アカウントで代理購入をやっていて、私の取引履歴にも1件ありました。
仕組みで知っておくと面白いのが、海外のお客さんは、メルカリの画面を直接見ていないという点です。
海外在住者はそもそもメルカリにアカウント登録ができません。彼らが見ているのは、各業者が運営する自社サイト。メルカリやヤフオクの出品が丸ごとミラー表示されていて、そこで検索して注文します。
つまり業者の名前と、海外のお客さんが買い物する画面は別物です。
もうひとつ、出品者に直結する事実があります。商品タイトルは日本語のまま海外に表示されているということです。
業者のサイトでは、海外のお客さんが母国語で入力した検索キーワードを日本語に翻訳して、日本語で検索をかける仕組みになっています(FROM JAPANは35言語対応を公式に明記しています)。
ということは、あなたの出品タイトルに正しい作品名・キャラ名・型番が入っているかどうかが、そのまま海外への露出を決めます。日本語タイトルを丁寧に書くことが、そのまま海外向けのSEOになっているわけです。
手数料の構造も、出品者に有利に働いています。
買い手が業者に払う代行手数料は、Buyeeが1注文500円、FROM JAPANが1品目500円というように、「率」ではなく「定額」が主流です。1万円の商品でも10万円の商品でも手数料はほぼ同じなので、単価の高い商品ほど海外のお客さんにとって割安になります。
高く売れる商品ほど海外に買われやすい構造がある、ということです。
eBay直販と「国内フリマ+代行」の比較
「それでも自分でeBay輸出をやったほうが儲かるのでは?」という疑問に、数字で答えておきます。
eBayの公式の料金ページと、代行業者の公式送料計算ツールを実際に叩いて比較しました。

| 国内フリマ+代行 | 自分でeBay輸出 | |
|---|---|---|
| 販売手数料 | メルカリ10% | 実質16.4〜19.5% (基本手数料13.6%+固定0.40ドル+国際手数料1.35%+入金時の為替コスト) 手数料は送料・税込みの総額にかかる |
| 出品作業 | いつもどおり日本語 | 英語で商品説明 |
| 発送 | 国内発送のみ | 国際発送を自分で手配 |
| 未着トラブル | 来ない (買い手と業者の間の話) | 追跡なしだと未着クレームはほぼ確実に負け 750ドル以上は署名確認必須 |
| 言語対応 | 不要 (業者から日本語の定型文が届く) | 英語で対応 |
| アカウント | 既存のまま | 新規登録+出品リミットあり 入金は海外送金サービス経由 |
手数料の差は7〜10ポイント。そこに国際発送の手間とトラブル対応のリスクが乗ります。
機械的に計算すると、eBayの相場が国内相場より1割強以上高い商品でなければ、eBay輸出は数字の上でも得になりません。
買い手側から見ても同じです。
海外のお客さんが代行経由で買う場合、支払いは「日本での売値+定額手数料+実費送料」。台湾なら1万円の商品が合計約11,250円、アメリカでも約13,600円で買えます(各社の公式計算ツールでの実測値)。
一方eBayの出品者は、さっきの16〜20%のコストとリスク分を価格に織り込むので、同じ商品なら代行経由のほうが安くなりやすい。海外の買い手にとっても、日本の国内フリマを代行で買うのは構造的に安い買い方なんです。
eBayをリサーチに使う話は別です。これは有料部分で詳しくやりますが、販売チャネルとしては、国内フリマに置いておくだけで十分に海外需要を拾えます。
なぜホビー・アニメグッズと相性がいいのか
アニメ・ゲーム・特撮のグッズには、海外需要と噛み合う性質がいくつもあります。
- 日本限定・イベント限定で、現地では手に入らない
- 生産が終わっていて、再販の見込みがない
- キャラクター単位でファンがつく(作品全体ではなく推しに金を出す)
- 国内では評価が落ち着いていても、海外にコレクターがいる
数字の裏付けもあります。
Buyeeの親会社BEENOSの発表では、2025年の越境購入件数ランキングは1位トレカ、2位おもちゃ・ホビー、3位アニメ・コミックグッズ。
2026年上半期はおもちゃ・ホビーの伸長率が91.4%で全エリア1位、アクスタ・缶バッジ・キーホルダーといった「推し活小物」は東アジアや欧州で100%以上伸びています。
メルカリの越境レポートでは、国別の人気1位がアメリカ・香港・フランス=ポケモン、台湾=ベイブレード、中国=鬼滅の刃、韓国=サンリオ。
品目によっては、NEOGEOのソフトは取引の46.3%が海外向けというデータまで出ています。
私の41件の取引も、フィギュア・特撮玩具・ゲーム関連・アクスタ・ぬいぐるみといったホビー系が約8割を占めています。
普段の仕入れ対象を変える必要はなく、いつものジャンルがそのまま海外需要の主戦場ということです。
41件の取引履歴から見えてきたこと
今回、この記事を書くにあたって、自分の取引履歴をさかのぼって「購入者が海外の代行業者だった取引」を全部拾い出し、一覧表にしました。証拠のスクショつきで41件です。

やってみて、いくつか面白いことが見えています。
- 買っていった業者は1社ではなく、13社もいた
- それでもBuyeeが約半分を占めて、圧倒的に目立つ
- 販路はメルカリ系(メルカリ+メルカリShops)が9割
- 売値の中心帯は3,000〜9,999円。一方で2万円超えも複数ある
- フィギュアやアクスタだけでなく、カメラ・腕時計・釣り竿まで買われている
- 業者ごとに、買っていく商品の傾向が違うように見える
「海外向けを狙って仕入れた」わけではありません。
順番は逆で、いつもどおり仕入れて売った結果を後から調べたら、41件が海外に渡っていた。国内相場だけでは説明のつかない値段で売れた商品には、だいたい海外の影がありました。
そこで、この41件の全データを整理して、共通点と業者ごとの傾向を分析してみました。ここから先が有料部分です。
ここから先で分かること
正直に言うと、私自身、この41件の中に「取り逃し」があります。
海外相場の確認を忘れたまま値付けして、出品した瞬間に売れてしまった商品です。利益は出ました。ただ、あとから海外の実売データを見ると、確認していればもっと上で売れていた。
即売れは「安すぎのサイン」です。そして国内相場しか見ていない人は、全員この取り逃しを日常的にやっています。
どの商品で、いくら取り逃したのかは、有料部分の実例で全部見せます。
もうひとつ。41件を業者ごとに並べていて気づいたことがあります。
Buyeeの購入アカウントには番号がついているんですが、ある番号アカウントの購入履歴を開いたら、向こう側の「買い方の癖」がはっきり見えました。これが読めると、自分の商品が海外からどう見つかっているのかの解像度が変わります。詳細は本編で。
有料部分に置くのは、次の内容です。
- 海外の代行業者に売れた41商品の全データ(商品名・仕入れ値・売値・業者・販路)と個別解説
- 売れた商品に共通する条件の分解
- 業者ごと・国ごとの傾向と、買われ方の癖
- eBay/Terapeakがリサーチに使える商品、使えない商品の見分け
- 海外需要を取り逃さないための判断手順と、危険な商品
無料部分が「仕組みの理解」だとしたら、有料部分は「明日の値付けと仕入れが変わる実データ」です。
たまたま海外に買われるのを待つ状態から、狙って取りに行く状態へ進みたい人はどうぞ。
さっさの中古せどり
